元彼からのプレゼントを使う心理が自分でも分かりません

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

元恋人からの贈り物を使い続けている、という話は相談室でもよく出てきます。

面白いもので、みなさん最初に聞くのは「これって未練ですか」なんですね。

でも、朝それを手に取るときに何が浮かぶかを伺うと、答えは人によってまるで違います。

捨てる捨てないを先に決めなくて構いません。

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**20代女性(会社員・公務員)**

別れて一年近く経つのに、元彼にもらった腕時計を毎朝つけています。壊れてもいませんし、身支度に組み込まれてしまって。

先日、友人に誰からの物か聞かれ、とっさに自分で買ったと答えました。

嘘が出た自分に驚いています。未練なのか、気に入っているだけなのか、見当がつきません。

ココラボ恋愛相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

毎朝それを手に取るたび、ほんの少し考えてしまう。その時間が積み重なると、判断の前に疲れてしまいますよね。

元彼からのプレゼントを使う心理には、いくつもの事情が同時に混ざります。ここでは、その混ざり方をほどきながら、あなた自身の今を確かめる見方を並べていきます。

元彼からのプレゼントを使う心理が気になるとき

最初に整理したいのは、結論ではなく現在地です。使っている事実そのものは、まだ何の答えでもありません。まずはそこから置いていきます。

捨てていないと気づいた瞬間のざわつき

ふとした拍子に、その品の出どころを思い出す瞬間があります。友人に聞かれたり、新しい相手の視線を感じたりしたときです。

それまで意識していなかった分、急に落ち着かなくなります。ざわつきは、物への気持ちではなく、見られ方への反応であることも多いです。

自分の中では何年も日用品だったのに、他人の目が入った途端に意味が変わる。その落差が、戸惑いの正体になっている場合もあります。

人に聞かれた時のざわつきは、品への気持ちとは別に起きることもあります。
人に聞かれた時のざわつきは、品への気持ちとは別に起きることもあります。

未練かどうかを先に決めなくていい

多くの記事は、残す理由を未練かそうでないかで切り分けます。読む側としては、白黒がついたほうが楽ではあります。

ただ、実際の気持ちは片方に寄り切らないことが普通です。懐かしさと面倒くささが、同じ朝に並んで出てくることもあります。

ここで急いで判定すると、当てはまらない答えを自分に貼ることになります。判定は後回しにして構いません。

未練という言葉は、便利なぶん雑にも使われます。自分の状態に名前をつけるなら、もう少し細かい言葉のほうが役に立ちます。

持ち続けている人は珍しくない

数字を見ておくと、少し肩の力が抜けます。20代女性100人への調査では、破局後のプレゼントについて回答が割れました。

そのまま持っている・使っていると答えた人は60.6%でした。手放した人は39.4%で、持っている側が多数派です。

調査では持ち続ける人も手放す人もいて、選択は分かれていました。
調査では持ち続ける人も手放す人もいて、選択は分かれていました。

割れているという事実そのものが、正解が1つではないことを示しています。周りに合わせて決める必要は、あまりなさそうです。

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使い続ける背景にある5つの心の動き

ここから、使い続ける理由を分解していきます。1つに絞らず、当てはまるものを複数拾う読み方で構いません。

使い続ける背景には、愛着や実用性など複数の事情が重なることがあります。
使い続ける背景には、愛着や実用性など複数の事情が重なることがあります。

もの自体への愛着が残っている

長く使った物は、贈り主の記憶から少しずつ離れていきます。革の馴染み方や重さのほうが、記憶の前面に出てくるためです。

心理学には移行対象という考え方があります。小児科医のウィニコットが示した概念です。子どもが毛布やぬいぐるみを手放せなくなる現象を指します。

大人でも、慣れた物が気持ちを落ち着ける働きを持つことはあります。贈り主への感情と、物への愛着は、別々に動きます。

馴染んだ品を使う気持ちは、贈り主への思いと分けて考えられます。
馴染んだ品を使う気持ちは、贈り主への思いと分けて考えられます。

別れの気持ちがまだ整理の途中にある

一方で、気持ちの整理が途中だから手元にある場合もあります。別れは喪失の一種なので、収まるまでに時間がかかります。

特に、理由がはっきりしないまま終わった関係は尾を引きます。区切りをつける材料が少ないぶん、物が最後の手がかりとして残ります。

整理の途中であることは、遅れでも失敗でもありません。期間の長さには、別れ方の差が大きく効いてきます。

振った側と振られた側でも、残り方は変わります。同じ一年でも、手放しやすさには開きが出ます。

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自分の来歴の一部として残している

人は自分の過去を、つながった話として覚えています。その中で、恋愛は章のひとつとして畳まれていきます。

この場合、品物は元彼の記号というより、あの頃の記号に変わります。大学時代の物、引っ越す前の物、といった語り方になりやすいです。

時期で語れるようになっていれば、気持ちの置き場は変わっています。思い出す相手が、人から時間に移っている状態です。

実用性や値段で選び直している

もっと単純に、便利だから使っている場合もあります。同じ品質の物を買い直す出費を考えると、現実的な選択です。

高価なアクセサリーや家電は、この理由が前に出やすいところです。もらった当時の値段が、そのまま使い続ける根拠として効いています。

便利さや買い直し費用だけで残す選択も、自然な理由の一つです。
便利さや買い直し費用だけで残す選択も、自然な理由の一つです。

損得で説明がつく品は、感情の話に乗せなくても構いません。ここを無理に心理の問題にすると、判断がこじれます。

捨てる決断そのものを先送りしている

最後に、捨てる行為自体が重い場合があります。人は手に入れる喜びより、失う痛みを強く感じる傾向があるためです。

だから、使うでも捨てるでもない放置の状態が生まれます。引き出しの奥に入ったまま、年単位で動かない品もあります。

動かせないのは気持ちの強さではなく、決断のコストの高さかもしれません。この2つは、混同されやすいところです。

未練があるから残す人と未練がないから残す人の違い

ここからは、自分の内側に向ける観点を3つ置きます。相手を見極める話ではなく、自分を確かめるための見方です。

手に取るときに何が浮かぶか

朝その品を使う瞬間、頭に何が浮かぶかを思い出してみてください。物の使い心地か、相手の顔か、別れた日の空気か。

相手の顔が毎回出てくるなら、まだ気持ちが行き来しています。物の感触しか浮かばないなら、記憶の紐づきは薄れています。

浮かんだ内容より、浮かぶ頻度のほうが手がかりになります。月に一度と毎朝とでは、意味がだいぶ違います。

人に見られたとき隠したくなるか

誰かに出どころを聞かれた場面を思い返してみます。正直に答えられたか、言葉を濁したか、嘘が出たか。

手に取った時の記憶や隠したい理由などを順に確かめると、今の気持ちが見えてきます。
手に取った時の記憶や隠したい理由などを順に確かめると、今の気持ちが見えてきます。

隠したくなる背景には、相手への気持ちが残っているとは限りません。責められる予感を避けたい、という反応のこともあります。

隠したいのが物なのか、説明する手間なのかで、意味は変わります。ここは少し丁寧に分けてみてください。

手放す話が出たとき何が惜しいか

手放す場面を想像したとき、何が惜しいかを言葉にしてみます。品物そのものか、あの時期の自分か、相手とのつながりか。

つながりが切れる感じがするなら、気持ちはまだ相手側にあります。品物が惜しいだけなら、買い替えで済む話になります。

惜しいものの名前が分かると、次に何をすればいいかも見えてきます。答えを出す必要は、まだありません。

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今の恋人に知られたときに何を伝えるか

今つき合っている相手がいると、この話は二人の課題に変わります。処分するかどうかとは別に、伝え方の話が残ります。

処分の話より先に気持ちを言葉にする

相手が気にしていると分かると、すぐ捨てる方向に話が進みがちです。ただ、物が消えても不安だけが残ることがあります。

先に聞きたいのは、相手が何を心配しているかです。過去そのものか、隠されていたことか、自分の扱いか。

処分は手段のひとつで、話し合いの結論とは限りません。順番を変えるだけで、会話の空気が変わります。

処分の結論を急ぐ前に、不安の中身を聞き、事実と気持ちを伝える方法もあります。
処分の結論を急ぐ前に、不安の中身を聞き、事実と気持ちを伝える方法もあります。

隠すほど相手の不安は強くなる

過去の恋愛への強い気がかりは、遡及的嫉妬と呼ばれることがあります。今起きていない出来事が相手なので、行き場がありません。

そこに隠し事が重なると、確かめたい気持ちが膨らみます。持ち物を調べる、SNSをさかのぼる、といった行動につながります。

先に事実を伝えておくほうが、結果として波は小さくなります。言いにくさは残りますが、長引き方が違います。

伝えるときは、相手の不安を否定しない言い方を選びます。気にしすぎだよ、の一言で会話は止まってしまいます。

一緒に選んだ品で新しい思い出を増やし、古い品の出番が自然に減ることもあります。
一緒に選んだ品で新しい思い出を増やし、古い品の出番が自然に減ることもあります。

二人の新しい思い出を増やしていく

もうひとつ、置き換えという道もあります。記念日に一緒に選んだ品は、今の関係の記号として残ります。

同じ用途の物が増えれば、古い品の出番は自然に減っていきます。急いで捨てるより、静かに順位が下がる形です。

捨てさせる、捨てないの押し合いから降りられる方法でもあります。どちらかが我慢する形を避けられます。

手放す時期を自分で決めていくために

最後は、時間の扱いについて書きます。急ぐ理由がないなら、急がない選択も残しておいてください。

決めないままの時期があってもいい

手放すかどうかを保留にしたまま、数か月が過ぎることもあります。保留は放置とは違い、気持ちが動くのを待つ時間です。

勢いで処分しても、気持ちだけが残る場合があります。逆に、ある日ふっと軽くなって手が動く日も来ます。

期限を自分に課さないほうが、後悔の少ない決め方になります。いま決めない、も選択のひとつです。

一人で抱えない方がよいサイン

ただし、生活が削られている場合は別に考えてください。次のような状態が続いているなら、誰かに話す段階かもしれません。

  • その品を見るたびに涙が出て、支度が止まってしまう
  • 眠れない夜が何週間も続き、仕事や学校に響いている
  • 今の相手との会話が、毎回この話で終わってしまう
生活への影響が続くときは、品物の判断と切り分けて誰かに話すことも選べます。
生活への影響が続くときは、品物の判断と切り分けて誰かに話すことも選べます。

一人で抱えなくて済む窓口もあります。厚生労働省のまもろうよこころには、電話やSNSで相談できる先がまとまっています。

話す相手は、専門家でも友人でも構いません。言葉にしてみると、自分の気持ちの輪郭が少し見えてきます。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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