サレ妻の心の傷はいつか消えるのでしょうか、夫を許したのに苦しいままです

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

夫の不倫で負った傷は、周りの話題からは早く消えていきます。

それなのに痛みだけが自分の手元に残る、そんな状態はよく起きます。

許せないままの自分を、失格だと思わなくていいですよ。

まずは眠れているか、食べられているか。

そこから見てあげてほしいと思います。

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30代女性(パート・アルバイト)

夫の不倫が分かってから一年が過ぎました。話し合って、やり直すと決めたはずなんです。

それなのに、夫が風呂に入っている間にスマホが光るだけで、手が冷たくなります。

母には、もう終わったことでしょと言われました。終わったことにできない自分が、いちばん嫌です。

ココラボ恋愛相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

許したはずなのに、ふとした瞬間に苦しさが戻ってくる。眠れない夜が続いている方もいると思います。その揺れを、自分の弱さのように感じてしまうのはつらい状態です。

サレ妻の心の傷が消えないのはなぜなのか。何が壊れて、どのくらいの時間がかかるのか。責める言葉を挟まずに、順番にほどいていきます。

サレ妻の心の傷が消えないのは弱さではありません

時間が経てば薄れるはずだと思っていた痛みが、思ったとおりに動いてくれない。その戸惑いから先に置かせてください。原因を探す前に、いま起きていることを言葉にします。

やり直す決断と心の回復は、同じ速さで進まなくても自然なことです。
やり直す決断と心の回復は、同じ速さで進まなくても自然なことです。

許したはずなのに苦しさが戻ってくる

やり直すと決めた日から、気持ちは前に進んだはずでした。それなのに数か月後、理由もなく涙が出る日が来ます。

これは決断が間違っていた合図ではありません。許すという判断と、傷が閉じる速度は別々に進みます

頭で決めたことに、心の回復がついてくるまでには間があります。その間があるのは、自然な経過です。

涙が止まらない自分に戸惑うとき

スマホの通知音、夫の帰宅時刻、季節の匂い。何気ないものが引き金になって、当時の場面が急に戻ってきます。

動悸がする、息が浅くなる、涙が勝手に出る。体のほうが先に反応するのは、強い衝撃のあとに起きやすい反応です

意思の力で止められないので、自分が壊れたように感じます。ただ、止められないことと、治らないことは別の話です。

思い出す回数も強さも、日によって違います。

小さなきっかけで体が反応することは、弱さではなく自然な反応として捉えられます。
小さなきっかけで体が反応することは、弱さではなく自然な反応として捉えられます。

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あなたにも原因があると言われたとき

相手を選んだのは自分だ、隙があったのでは。そう受け取れる言葉に、ネット上でも身近な場面でも出会います。

事実と自責の言葉を分けて書くと、心に少し余白を作りやすくなります。
事実と自責の言葉を分けて書くと、心に少し余白を作りやすくなります。

読むたびに、責められる側が二重に傷つきます。不倫という選択をしたのは、選んだ本人です

関係の課題があったかどうかと、裏切りの責任は分けて考えられます。この分け方は、あとの章でもう一度扱います。

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心の傷として何が壊れたのかを分けて考える

苦しさをひとかたまりで抱えていると、どこから手をつけるか決まりません。壊れたものを三つに分けてみます。名前がつくと、自分の反応の説明がつきます。

夫への信頼が土台から抜けた感覚

結婚生活は、相手が嘘をつかないという前提の上に立っています。その前提が抜けると、日常の動作ひとつが確認作業に変わります。

帰りが遅い日に理由を聞く。以前なら考えもしなかった行動が増えます。

疑ってしまう自分が嫌になるのは、疑いたくない気持ちが残っているからです。信頼したい側の気持ちが、まだ生きている証拠でもあります。

苦しさをいくつかの喪失に分けて見ると、今必要な手当てを考えやすくなります。
苦しさをいくつかの喪失に分けて見ると、今必要な手当てを考えやすくなります。

自分の価値まで否定された気がすること

相手が選んだのは別の人だった。その事実が、自分の価値の採点結果のように感じられます。

家事も育児も抜かりなくやってきた人ほど、この受け取り方は強く出ます。積み上げてきたものが無効になったように思えるからです。

相手の行動が測っているのは相手の状態で、あなたの価値ではありません

ただ、頭で分かっても感覚は追いつきません。感覚が戻るのは、日常で自分の役に立つ経験を重ねたあとです。

相手の行動とあなたの価値を分けて考えることは、自分を守る視点になります。
相手の行動とあなたの価値を分けて考えることは、自分を守る視点になります。

これから先の見通しが立たなくなること

この先どう暮らしていくのか、その予定が一度白紙に戻ります。十年後を思い描けなくなる感覚は、喪失の一種です。

見通しが持てない時期は、決断を急がず準備を進める選択もできます。
見通しが持てない時期は、決断を急がず準備を進める選択もできます。

離婚するのか、続けるのか。答えの出ない問いが、毎日頭の中で回り続けます。

見通しが立たない時期に、無理に答えを出さなくても進めます。答えを出す時期については、このあとまた触れます。

浮気の原因を自分に探してしまう理由

自分のどこが足りなかったのかを、何度も数え直してしまう。この探し方には、心の働きとしての理由があります。責任の置き場所も一緒に確認します。

説明のつかない出来事に理由を求める働き

人には、起きた出来事に理由を与えて納得しようとする性質があります。理由がないまま放り出される状態は、それ自体が苦しいからです。

心理学には、公正世界仮説と呼ばれる考え方があります。世界は公正で、人は行いに見合った結果を受け取るという信じ方です。

この信じ方が強いほど、被害を受けた側が自分の落ち度を探しやすくなります。原因が自分にあるなら、次は防げるという理屈になるからです。

つまり自責は、性格の弱さから出てくるものではありません。予測できなかった出来事を、何とか予測可能にしようとする働きです。

自責は予測できない出来事を理解しようとする心の働きとして起こることがあります。
自責は予測できない出来事を理解しようとする心の働きとして起こることがあります。

責任の所在は夫が選んだ側にあること

夫婦の関係に課題があったことと、不倫という行動を選んだことは別々の話です。前者に心当たりがあっても、後者の責任が移るわけではないです。

関係の課題は、二人で見直していける範囲にあります。行動の選択は、選んだ人の側に残ります

この線を引いておくと、話し合いの場で自分を差し出しすぎずに済みます。謝罪を求める言葉にも、芯が通ります。

関係の課題と、裏切る行動を選んだ責任は分けて考えられます。
関係の課題と、裏切る行動を選んだ責任は分けて考えられます。

夫の詳細をどこまで知るかの線引き

いつから、どこで、何回。知りたい気持ちは自然に出てきます。

知る情報の範囲を自分で決めることは、心の安全を守る助けになります。
知る情報の範囲を自分で決めることは、心の安全を守る助けになります。

ただ、細部を全部知っても楽になるとは限りません。ある地点を越えると、増えるのは映像の材料だけになります。

知る目的を、再発を防ぐ情報に限ると決めておきます。そうすると線が引きやすくなります。続ける場合も離れる場合も、この線は役に立ちます。

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許すことと傷が閉じることは別の時間で進みます

もう許してあげなよ、という声が周りから届きます。その言葉が、二度目の苦しさを作ることがあります。時間の見通しも合わせて置いておきます。

許さなければと思うほど重くなる

許すという言葉には、水に流して元通りにする、という意味が混ざっています。この意味で受け取ると、まだ痛む自分が失格に見えます。

許すかどうかは、いま決めなくても日常は回ります。決めていない状態のまま、暮らしを続けるという形も取れます。

許しを目標に置くと、達成できない自分を毎日採点することになります。目標は、今日眠れるかどうかで足ります。

許すかどうかを今決めなくても、眠りと食事を整えることから始められます。
許すかどうかを今決めなくても、眠りと食事を整えることから始められます。

もう忘れなよと言われたときの受け取り方

周りが一件落着とみなした後から、話し相手が消えていきます。痛みが続いているのに話題にできない時期が、いちばん孤独です

悪気なく言われることがほとんどなので、正面から反論しても消耗します。まだ整理中だから聞くだけにしてほしい、と伝える方が通ります。

それも難しい相手なら、この話題を出す相手から外しておきます。話せる相手は、一人か二人で十分です。

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楽になるまでの時間には幅があること

どのくらいで落ち着くのか、これは人によって大きく違います。半年で日常が戻る人もいれば、数年たっても波が来る人もいます。

発覚から半年ほどは、大きな決断を避けて休むという考え方があります。一方で、五年十年たって思い出す日がある、という話もあります。

幅が広いので、自分の回復が遅いかどうかは測れません。比べる相手がいない種類の傷です。

消えるか消えないかで考えると、答えが出ません。思い出す回数が減り、思い出しても一日が壊れなくなる。その状態を目安に置くほうが現実的です。

再構築か離婚かを決めるのは手当てのあと

強い衝撃の直後は、判断の材料が偏ります。恐怖と怒りが大きいときは、極端な選択に振れやすいです。

生活を整え、話せる場所を一つ持つことが、毎日を動かす支えになります。
生活を整え、話せる場所を一つ持つことが、毎日を動かす支えになります。

眠れて食べられる状態に戻ってから決めても、選択肢は減りません。不倫相手への慰謝料の請求期限は、知った時から三年あります。

準備を進めながら決断を先送りにする、という組み合わせも取れます。決めないでいる時間も、使い道のある時間です。

心の傷を抱えたまま毎日を動かしていくために

気持ちの整理より先に、体のほうが助けを必要としています。今日から動かせる場所を三つだけ挙げます。抱え込みの限界も最後に確認します。

眠りと食事から先に立て直す

眠れない日が続くと、考え方は自動的に悪い方へ傾きます。夜に出した結論が翌朝ひっくり返るのは、そのためです。

先に手をつけるのは、気持ちではなく生活のほうです。起きる時刻を固定して、朝の光を十五分ほど浴びます。

食欲がないときは、量より回数を優先します。一日三回、少しずつでも口に入るほうが、体は保ちます。

つらさを外に出せる場所を一つ持つ

抱えたまま黙っていると、頭の中で同じ場面が再生され続けます。出す先があると、再生の回数が落ち着きます。

書き出すか、話すか。どちらでも構いません。ノートに日付と出来事と体の感じだけ書く方法は、始めやすいです。

一人で抱えにくいと感じたとき、相談先につながることも自分を守る行動です。
一人で抱えにくいと感じたとき、相談先につながることも自分を守る行動です。

同じ立場の人が集まる場所は、支えにも消耗にもなります。読んで気分が沈む日は、いったん離れる決め方をしておきます。

一人で抱えないほうがよいサインと相談先

眠れない日や食べられない日が二週間ほど続く。仕事や家事が回らない、消えてしまいたい気持ちが出てくる。

このあたりが、自分だけで抱えるのをやめる目安になります。心療内科や精神科では、眠れない状態の相談だけでも受けられます。

費用の負担が心配なときは、公的な窓口から始められます。厚生労働省のまもろうよ こころには、電話やSNSの相談先がまとまっています。

話す相手を選べる状態にしておくと、追い込まれる前に手が挙がります。夫との今後を決めるのは、その後で間に合います。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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