ストーカーの好きという心理がわからず、怖いのに突き放せない自分がつらいです

監修者の石川蓮(公認心理師)先生より

好意を向けられているのに怖い、という感覚は、説明しづらいぶん抱え込みやすいものです。

相手の気持ちを正しく読み解けば解決するわけでもありません。

私が面接でまず伺うのは、断ったあとに何が起きたかという事実のほうです。

怖いと感じた自分の感覚を、まず置いておいてくださいね。

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20代女性(会社員・公務員)

同じ職場の方から好意を伝えられて、はっきりお断りしました。

それなのに帰り道で待たれていたり、休みの予定を聞かれたりが続いています。

好きだから、と言われると強く出られなくて。悪い人ではないのにと思う自分もいて、どこまでが普通か分からなくなりました。

ココラボ恋愛相談室からの回答

ご相談ありがとうございます。

好きだと言われているのに、体のほうが先にこわばる。そんなちぐはぐな状態に置かれると、自分の感じ方まで疑いたくなります。

ストーカーの好きという心理を知りたくなるのは、相手を許したいからとは限りません。自分の恐怖が正しいのかを確かめたい時にも、人はこの言葉を検索します。ここではその好意が、あなたの安全と両立しているかという角度から見ていきます。

怖いのに突き放せないのは自然な反応です

怖いという感覚と、突き放せない気持ちは同時に起きます。矛盾しているようで、どちらも本当のものです。その状態そのものから見ていきます。

拒めない自分を責めてしまうとき

はっきり断れない自分が悪いのだと、考えてしまう時期があります。

けれど拒めなさは、性格の弱さから来ているわけではありません。相手が逆上しそうな場面では、はっきり断らないことが身を守る動きになります。

言葉を濁すのは、危険を察知したうえでの選択でもあります。強く出られない自分を責める前に、そこに恐怖があったかを見てみてください。

怖さと突き放せなさが同時にあることは、矛盾ではなく自然な反応です。
怖さと突き放せなさが同時にあることは、矛盾ではなく自然な反応です。

かわいそうだと思ってしまう理由

相手を気の毒に思う気持ちが、拒む手を止めてしまうことがあります。

そう感じるのは、あなたが相手の事情を知っているからです。仕事の行き詰まりや家族との距離を聞いていれば、切り捨てることに痛みが伴います。

ただ、同情は関係を終わらせない理由にはなりません。相手の苦しさが本物でも、あなたの安全を後回しにする根拠にはならないからです。

恐怖と同情が同時に起きること

恐怖と同情が同じ胸の中にあると、自分の感覚が信用できなくなります。

心理の世界では、相反する感情が同居する状態そのものは珍しくありません。片方が本物で片方が嘘、という分け方をしないほうが正確に見られます。

迷うときは、事実のほうを並べてみてください。連絡の回数、断ったあとの相手の動き、あなたの睡眠。気持ちは揺れても、事実は揺れません。

迷うときは、一人で抱えず信頼できる人に事実を共有することが安全につながります。
迷うときは、一人で抱えず信頼できる人に事実を共有することが安全につながります。

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ストーカーの好きという心理で起きていること

相手の中で、好きという言葉がどう働いているかを見ます。人格の善し悪しを裁く話ではありません。何が起きると止まらなくなるのか、その仕組みだけを取り出します。

好きと欲しいが別々に動くとき

好意が強まるほど執着になる、という一本道の説明があります。

好ましく感じる働きと、手に入れたいと欲する働きは別です。同じ方向に伸びるとは限りません。好ましさが薄れたあとも、欲しさだけが残る場合があります。

相手の言葉が愛情に聞こえない。それはあなたの受け取り方のせいではありません。好きという言葉の中身が、欲しいのほうへ寄っているのかもしれません。

好意と欲しさは別に動くことがあり、相手の言葉だけで安全を判断する必要はありません。
好意と欲しさは別に動くことがあり、相手の言葉だけで安全を判断する必要はありません。

承認の穴を埋める道具になる好意

拒絶に弱い人ほど、好意が強く見えることがあります。

自分の価値を自分で支えにくいと、誰かに選ばれることが唯一の証明になります。そうなると相手は、恋愛の対象というより自分の存在を保証する装置に近づきます。

だから断られたときの反応が、悲しみより屈辱や怒りに寄る場合があります。相手が急に別人のようになった。そう感じたなら、この切り替わりが起きていた可能性があります。

相手の気持ちを自分で作ってしまう

拒否しているのに伝わらない、という感覚に覚えはないでしょうか。

強い執着の状態では、相手の反応が自分に都合よく読み替えられます。目が合えば脈があると解釈され、避ければ照れていると読まれます。冷たい態度さえ、試し行動として処理されます。

心理学では、この読み替えが投影と呼ばれる働きで説明されます。自分の内側にある望みを、相手の心の中に置いてしまう動きです。

相手の都合のよい読み替えは、あなたの伝え方が足りないことを意味しません。
相手の都合のよい読み替えは、あなたの伝え方が足りないことを意味しません。

あなたの伝え方が足りないのではなく、受け取る側の枠組みが先にできている。

本人に加害の自覚がないことがある

自分はストーカーではないと語る人は、実際にいます。

本人の中では、好きな相手に誠実に向き合っているつもりだからです。だから第三者に指摘されると、善意を否定されたと感じて怒ります。

ここが厄介な点です。自覚がない相手には、話し合いで理解を求める方法が効きにくくなります。

理解を求め続けるより、相手の行動を記録して安全を優先することが大切です。
理解を求め続けるより、相手の行動を記録して安全を優先することが大切です。

恋愛と呼べなくなる線引きはどこにあるか

どこからが問題なのかを、相手の性格から離れて行動で見ます。判断の物差しがあると、迷う時間が短くなります。法律が定めている線も確認しておきます。

拒否をどう扱ったかが基準になる

思い込みが激しい、嫉妬深い、自己肯定感が低い。そうした特徴の一覧は各所で見かけます。

ただ、当てはめても答えは出にくいものです。人の性格は多面的で、目の前の相手が本当にその型かは分かりません。

もっと単純な基準があります。あなたが嫌だと伝えたあと、相手がその意思をどう扱ったか。受け取って距離を置いたのか、あるいは本心ではないと決めつけたのか。

相手の性格ではなく、拒否の意思をどう扱ったかを判断の基準にします。
相手の性格ではなく、拒否の意思をどう扱ったかを判断の基準にします。

加害者の5つの型は診断名ではない

司法精神医学には、加害行動を動機で分類する考え方があります。オーストラリアの精神科医ミューレンらが整理した5類型が知られています。

  • 拒絶型:親密な関係が終わったことを受け入れられない
  • 親密希求型:特別な絆があると強く信じている
  • 無能な求愛者型:距離感や同意のサインを読み取りにくい
  • 怨恨型:不当な扱いを受けたという被害感から報復に向かう
  • 略奪型:性的な加害や危害を準備して接近する

これは病名ではなく、対応を考えるための整理です。当てはまるから病気だ、という読み方はしないでください。

類型は診断ではなく、関わり方と安全の備えを整理するための視点です。
類型は診断ではなく、関わり方と安全の備えを整理するための視点です。

法律がつきまといと定めている行為

ストーカー規制法は、つきまとい等にあたる行為を挙げています。待ち伏せ、見張り、押しかけ、うろつき。連続した電話やメッセージ、面会や復縁の要求も入ります。

位置情報を無断で取得する行為も、いまは対象です。紛失防止タグを使われた場合も含まれます。

つまり、説明したいだけという動機でも線は動きません。拒否のあとに繰り返される接触は、恋愛の延長ではなく規制の対象です。枠組みは警察庁のストーカー総合対策のページでも公開されています。

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安全を守るために今日からできること

気持ちの整理より先に置きたい、実務の話になります。相手を変える話はしません。接触の機会そのものを減らす方向で考えます。

一人で説得せず記録を残しておく

自分で話をつければ穏便に終わる、と考えたくなる時期があります。

ただ、返信して関係を閉じようとすると、まだ続いていると受け取られやすいです。説得は、こちらの意図と逆に働く手段になります。

先にやっておきたいのは記録です。着信履歴、メッセージの画面、来訪の日時。形式はメモでもかまいません。相談の場では、そこから話が早く進みます。

記録を残し、相手を一人で説得しようとしないことが次の相談につながります。
記録を残し、相手を一人で説得しようとしないことが次の相談につながります。

接触の機会を構造として減らす

一人で対処しようとすると、どうしても限界が出ます。

通勤の時間や経路を変える、帰りに誰かと一緒になる、職場に状況を共有しておく。個人間のもめごと扱いで終わらせない。組織の対応にしてもらえると安全が上がります。

あなたの努力ではなく、環境の作りで守るという発想に切り替えます。言いにくければ、まず信頼できる一人に話すところからで十分です。

経路や時間を変え、周囲と共有することで接触の機会を構造的に減らせます。
経路や時間を変え、周囲と共有することで接触の機会を構造的に減らせます。

警察相談専用電話に相談する目安

警察に行くほどではない、と感じて止まってしまう人は多いです。

緊急ではない相談には、警察相談専用電話の#9110があります。最寄りの都道府県警につながる窓口で、状況を話すだけでも構いません。身の危険を感じる場面では110番です。

相談してよいかどうかは、被害の大きさでは決まりません。拒否を伝えたのに接触が続いているなら、それだけで相談の理由になります。

死ぬ、許さない、といった言葉が出ている場合は、ためらわずに連絡してください。

気持ちと安全を両立させるための整理

最後に、あなた自身の側に残るものを扱います。安全の確保が進んでも、気持ちはすぐには片づきません。その後についても少し触れます。

相手の回復はあなたの役目ではない

自分が離れたら相手が壊れてしまう、という心配が残る人もいます。

その責任感は優しさから来ています。ただ、加害の側にいる人の回復には、医療や司法を含む枠組みが必要です。関係の当事者が一人で担える範囲を、はっきり超えています。

相手の回復を一人で引き受けず、自分の安全を優先してよいのです。
相手の回復を一人で引き受けず、自分の安全を優先してよいのです。

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あなたが引き受けなかったことは、見捨てたことと同じではありません。入口を用意できる立場の人は、他にもいます。

自分が追う側かもと不安なときは

自分の行動が行きすぎているのではと感じて、ここにたどり着いた方もいると思います。

確認したい点は一つです。相手が距離を取ろうとしたとき、それを本心として受け取れているかどうか。受け取れていないと感じるなら、その時点で立ち止まれます。

好きという気持ちが消えなくても、行動は選べます。苦しさが続くなら、心理の専門機関に相談してみるのも一つの道です。

立ち止まることは、相手の意思を本心として受け取るための大切な選択です。
立ち止まることは、相手の意思を本心として受け取るための大切な選択です。

眠れない怖いが続くときのケア

通知音に体がすくむ、外出が怖い、眠りが浅い。こうした反応は被害のあとに残ります。

気の持ちようで収まるものでもないです。長く続く場合は、心的外傷後ストレス症と重なることもあります。精神科や心療内科、心理職に相談してよい状態です。

安全の確保と心のケアは、別々に進めてもかまいません。
安全の確保と心のケアは、別々に進めてもかまいません。

安全の確保と、あなたの心のケアは、別々に進めて構いません。

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監修者: 石川蓮(公認心理師)

公認心理師、行動心理士。1997年生まれ。北里大学・大学院卒業。その後、公認心理師と行動心理士の資格取得。
在学中は高齢者や生産人口の色覚異常や朝型夜型特性が睡眠に与える効果等の研究を行う。
大学院卒業後、大学病院附属の研究所にてカウンセリングやデータマネジメント担当として勤務。また、都立高校の心理学講師としても勤務。
「心の悩みを持つ方のそばに寄り添う」をモットーに業務遂行しております。

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